📋 目次
📖 この記事でわかること
- ✅ バリューブックスが毎年40%成長できた2つの理由がわかる
- ✅ IT音痴でも泥臭く戦えば勝てるという希望の実例がわかる
- ✅ リアルな創業期の売上・成長率の数字がわかる
「賢いやり方がわからなくても、とにかくやれば意外と戦える」——これは、手書き伝票とブックオフへの電話560本から始まり、10年で売上22億円に成長したオンライン本屋・バリューブックスの創業者たちが証明した事実です。
今回は、YouTubeチャンネル「ゆる言語学ラジオ」の運営母体でもあるバリューブックスの創業秘話を、リアルな決算数字とともにご紹介します。ITリテラシーゼロのマイルドヤンキー5人組が、なぜここまで成長できたのか?そしてなぜ赤字に転落したのか?
就職できなかった青年が「教科書をAmazonで売った」ことから全てが始まった
バリューブックスの創業者・中村大樹さんは、元々就職ができず家に引きこもっていました。ある日、家に余っていた大学の教科書をAmazonマーケットプレイスに出品してみたところ、あっさり売れたのです。
「あれ、これなら食っていけるのか?」——この気づきから、古本のせどり(転売)ビジネスが始まりました。1人で食えるようになった段階で、くすぶっていた同級生の仲間4人を誘い、計5人でスタート。法人化前から個人事業主として実績を積んでいたため、第1期の売上はいきなり876万円でした。
- 創業者は就職できず引きこもり→教科書転売で開眼
- 1人で食えるようになってから仲間4人を誘った
- 「くすぶってるくらいなら仲間同士で食っていこう」が合言葉
- 法人化前にノウハウを蓄積済みだった
ブックオフ560店舗に電話する「イノベーション」
当時の仕入れ方法は、ブックオフの店舗を回って「ネット上の価格と店頭価格のズレ」がある本を1冊1冊見つけてピックするというもの。まさに狩猟のような仕事です。
そこで生まれた「イノベーション」が、関東にある560のブックオフに片っ端から電話をかけるというもの。当時(2007年頃)はセール情報がWebに載っておらず、店舗に直接聞くしか方法がなかったのです。
- 「明日からセール始まりますか?」を560店舗に電話
- 店舗の規模感やライバルの多さで優先順位をつけていた
- 創業メンバーは日本地図をブックオフの位置で記憶している
- 店長には喜ばれたが、アルバイトスタッフには「虫のように扱われた」
手書き伝票&Microsoft Accessが「革命」だった衝撃のIT環境
せどりから買い取り事業に転換した後も、業務環境は驚くほどアナログでした。
本のバーコードを読み取って買取価格を決める作業は、「100マス計算」のような表を使っていました。縦軸が「市場でいくらで売れるか」、横軸が「何日で売れそうか」。この2軸でマトリックス上の位置を特定し、手書きで性能値を記入していたのです。
お客さんからの集荷連絡も電話で受けていて、電話を受けながら手書きでメモ。全てが紙ベースでした。
取締役の1人がMicrosoft Accessを独学で勉強。その結果、「郵便番号を打てば住所が出てくる」ようになり、社内では大革命として歓迎されました。……1970年代にIBMがやっていたレベルの処理を、2007年頃にやっと実現した計算になります。
日本全体がIT化に遅れていたわけではありません。なぜかバリューブックスだけが取り残されていたのです。それでも潰れずに成長し続けたのは、ある意味すごいこと。
幻の新規事業「開拓本部」とお任せくださいの起源
創業初期に1年だけ存在した新規事業がありました。その名は「開拓本部」。お客さんの家までバリューブックスが直接バイクで本を取りに行くサービスです。
今でいうUber Eatsのようなギグワーク的発想ですが、当時はそうしたインフラがなく、わずか1年で終了。しかしYouTubeにはCM動画が残っています。なぜか?
ちなみにこのCMで使われていた「お任せください」というフレーズが、後のゆる言語学ラジオの名物フレーズの起源だったという衝撃の事実も判明しました。本人いわく「偶然ふと出てきた」とのこと。DNAのように受け継がれていたのかもしれません。
10期で売上22億円——爆発的成長の2つの秘密
ここからが本題です。バリューブックスは創業から10年間、毎年前年比約40%の成長を続けました。1期目の876万円から10期目には約22億円へ。驚異的な数字です。
特に1期→2期は79%成長(ほぼ倍増)。手書き伝票にMicrosoft Accessという「IT弱者」集団が、なぜこれほど伸びたのか?
創業者の中村大樹さんに聞いた答えはシンプルでした。
- ①集客:古本を送ってくれる買取客を増やすことに集中した
- ②空間:集まる本の量に合わせて倉庫をどんどん拡大した
当時、宅配買取というビジネスモデル自体が珍しく、ライバルがほとんどいませんでした。古本業界は「店舗に持ってきてください」が常識。そこにインターネット広告(リスティング広告)を使って宅配買取の集客をガンガン行ったのです。
ライバルが少ない市場で、広告を打ちまくり、来た本を処理するために倉庫も拡大。このシンプルな循環が爆発的な成長を生みました。
賢い人たちは利権争いや社内政治に時間を取られがち。一方、マイルドヤンキーたちは効率は悪くても「とにかく全員で頑張ろう」を徹底した。このがむしゃら力が、ライバル不在の市場で最大限に発揮された好例です。
外部出資ゼロで22億円——でもその先に待っていた「赤字転落」
注目すべきは、バリューブックスが外部からの出資を一切受けていないという点。VCや投資家の資金なしに、自力で22億円まで成長したのです。
しかし10年を超えた瞬間から、売上は横ばいになり、さらには赤字にまで転落。ジェットコースターのような急展開が待っていました。
成長期の「ひたすら拡大」戦略には限界がある——このリアルな教訓も、バリューブックスの歴史が教えてくれるものです。
「成功するスタートアップは最初から賢くてITに強い」
「泥臭いやり方では大きくなれない」
「外部出資なしでは急成長できない」
「ITリテラシーゼロでも、泥臭くやれば戦える」
「ライバル不在の市場で”集客×空間”に集中すれば爆伸びする」
「自己資金だけでも22億円規模まで到達可能」
この創業ストーリーから学べる3つのこと
- 完璧な準備より「まずやってみる」が最強:教科書1冊の出品から22億円企業が生まれた
- ライバル不在の市場を見つけたら、全力で集客せよ:「宅配買取×ネット広告」は当時ブルーオーシャンだった
- 仲間との「やりきる力」は高度なスキルに勝る:IT弱者でも、560店舗に電話する根性が成長の原動力になった
「賢いやり方がわからない」を言い訳にしていることが1つあるはず。
今日はそれを泥臭くてもいいからとりあえずやってみる。バリューブックスの創業者たちは、手書き伝票と電話560本でここまで来ました。
「売上22億円のIT企業があるんだけどさ、創業時はMicrosoft Accessで”郵便番号入れたら住所が出る”っていうのが社内で大革命だったらしいよ。しかも昔やってたサービスのCM動画をYouTubeから消したいのに、パスワードわからなくて消せないんだって。そんな会社が外部出資ゼロで22億まで行ったっていうんだから、やっぱり大事なのはITスキルじゃなくて”とにかくやる力”なんだろうね。」


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